11月20日 <沢村栄治、MLB選抜相手に好投(1934年=昭和9)>

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1934年(昭和9)のこの日、沢村栄治はMLB選抜チームを相手にルー・ゲーリックのホームランによる1点に抑える好投を見せました。

これは昭和時代の出来事です。少し詳しく覗いてみましょう。

これは2分程度で読める記事です。
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1.解説

 

今年2018年(平成30)にもMLB選抜チームが日本を訪れ、日米野球が行われ、しかも日本側の対戦チームが5勝2敗で勝ち越しました。

この日米野球、古くは1908年(明治41)から始まっており、2018年で第39回を数える歴史ある行事なんですね。ちなみに日米の通算成績は米国359勝、日本93勝です。

 

今回の記事は1934年に行われた日米野球での出来事です。

 

その年のMLB選抜は智将コニー・マック監督率いるチームで、三大本塁打王と呼ばれたベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジミー・フォックスに、速球王のレフティ・ゴメスらを擁する布陣で、1934年(昭和9)11月2日に、読売新聞社の招きで来日しました。

対する日本は初めてプロのチーム「全日本軍」で挑み。11月4日の神宮球場での第1戦を皮切りに16試合を行いましたが、彼我の力の差は大きく、16戦全敗に終わりました。

しかし、1試合だけ

 

もしかして勝てるかも!

 

と思わせる試合がありました。

それがこの日、静岡県草薙総合運動場硬式野球場で行われた第9戦目でした。

全日本チームは沢村栄治がマウンドに立ちました。6回までの被安打は2、スコアは0対0の息詰まる投手戦でした。7回裏ベーブ・ルースをピッチャーゴロに仕留めたあと、打席には4番ルー・ゲーリックです。カウント2ストライク0ボールからの3球目をライトスタンドに叩き込まれてしまいました。失点はこのソロホームランのみで、8回を5安打1失点と好投しました。試合は0対1で全日本の敗戦でした。

時折、頭の高さまで左足を上げてのオーバースローで投げ下ろす速球は、時速160kmは出ていたのでは、と後年の研究で明らかになっています。

沢村自身、この年のMLB選抜相手に5試合登板し、その他の4試合はボコボコに打たれ「スクールボーイ」とあだ名されていたそうですが、この快投は今尚、語り草になっているほど見事なものでした。

 

沢村は、三重県宇治山田市(現・三重県伊勢市)んp明倫小学校出身で、1930年(昭和5)京都商業に入りました。1934年(昭和9)第20回夏の甲子園大会にも出場しましたが1回戦で鳥取一中から9奪三振の力投を見せながらも3対1と敗退しています。しかし、野球部員による下級生への暴行事件が明るみに出て、連帯責任で甲子園出場が絶望的になったため、同年の秋、学校を中退して全日本に参加、MLB選抜を相手に好投して喝采を浴びたのでした。

全日本チームはその後、大日本東京野球倶楽部へと組織を発展させ、のちの読売巨人軍となり、沢村もまたこれに参加し、1936年(昭和11)〜1937年(昭和12)のシーズンには最多勝を上げエースとして大活躍をしました。

 

しかし、戦争は沢村にも容赦なく影響を及ぼしました。1938年(昭和13)〜1940年(昭和15)まで日中戦争に従軍した沢村は、戦場では来る日も来る日も手榴弾を投げさせられました。その結果、右肩を痛め、遂にはオーバースローでは投げられなくなってしまったのです。

それでも沢村はあきらめません。サイドスローに転向し、1940年(昭和15)7月には自身3度目となるノーヒットノーランを達成するなど、速球派から変化球主体の技巧派へと転身し自身の可能性を追求しました。

その後、応召により軍隊に戻り、さらに肩を痛めた沢村は、もはやサイドスローで投げることも出来ない状態でした。それでもあきらめません。肩への負担の少ないアンダースローに転向しますが、好成績を残せませんでした。

1943年(昭和18)にはプロ野球の試合停止で失職した沢村は、徴用で鋲打ち工となり、1944年(昭和19)10月に2度目の応召で入隊。同年12月フィリピンに向かうため乗船していた軍隊輸送船が、屋久島沖西方の東シナ海でアメリカ海軍潜水艦「シーデビル」により撃沈され他界しました。享年27歳でした。

 

2.他の年、この日の記事

他の年には、こんな記事を書いています。こちらも併せて御覧下さい。(記事が先の日付の場合は表示されません。当日にならないと公開しないように予約投稿しているためです)。

今日はここまでです。

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