11月28日 <日本初の洋式社交クラブ、鹿鳴館の開館式が行われる(1883年=明治16)>

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1883年(明治16)のこの日、東京・日比谷の内幸町で新しいルネッサンス様式の洋館「鹿鳴館」の開館式が開かれました。

これは明治時代の出来事です。少し詳しく覗いてみましょう。

これは2分程度で読める記事です。
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1.解説

 

井上馨(いのうえかおる)外務卿(のちに外務大臣:1885年(明治18)に始まった内閣制の際に卿は大臣に改称)は1879年(明治12)〜1887年(明治20)までその職にあり、条約改正の任に当たっていました。

 

井上外務卿は法・税権の一部回復を目指し、まず1882年(明治15)に東京で列国共同の条約改正予備会議を開き、その結果に基づいて1886年(明治19)から翌年にかけて正式交渉を開始しました。その改正案の要点は、2年以内に外国人に内地を開放し、営業活動や旅行・居住の自由を認めること(いわゆる内地雑居)、外国人判事を任用すること、西洋風の近代的諸法律を2年以内に制定することなどを条件に、領事裁判制度を廃止し、輸入関税の税率を引き上げるというものでした。井上はこの交渉を成功させるためもあって、いわゆる欧化政策をとり、盛んに欧米の制度や風俗・習慣・生活様式などを取り入れて、その模倣につとめ、整米諸国の関心を引こうとしました。

 

そうした井上外務卿の肝いりで、当初は外国人接待所として計画された鹿鳴館は、イギリス人コンドルの設計による建物で、1881年(明治14)着工し、1883年7月落成、そして同年のこの日、華々しく開館式が行われました。この東京の日比谷の内幸町一丁目に出来た迎賓館は、総工費は当時の金で18万円、建坪約1350㎡、煉瓦造2階建てのルネッサンス様式の洒落た建物でした。

 

開館式には、各国の外交官や日本の後続・華族・顕官・著名人などが、美しく着飾った洋装の家族を同伴してやってきました。その数は1,100余人に及んだそうです、以降、政府高官・内外貴顕の社交場として、また、。政治的な会合の会場として用いられました。特に、社交の場としては大活躍で、連日のように政府の高官が内外の紳士・淑女を招待して園遊会や西洋式の大舞踏会を開いたり、バザーを行ったりしました。

 

その有様を、1867年(明治元)生まれの文学者内田魯庵(うちだろあん)が次の様に書いています。

「当時の欧化熱の中心地は永田町で、このあたりは右も左も洋風の家屋や庭園を連接し、瀟洒な洋装をした貴婦人の二人や三人にかならず邂逅った(であった)もんだ。ダアクのあやつり人形と妙な内鰐(うちわに:両足のつま先を内側に向ける歩き方のこと)の足どりで、シャナリシャナリと蓮歩(れんぽ:美人のあでやかな歩みのこと)を運ぶものもあったが、なかにはいまよりもハイカラな風をして、そのころはやった横乗りで夫婦くつわをならべて行くものもあった。このエキゾチックな貴族臭い雰囲気に浸りながら霞が関を下りると、そのころ練兵場(れんぺいじょう)であった日比谷の原をへだてて鹿鳴館の白い壁からオーケストラの美しい旋律が行人(こうじん)を誘って文明の微醺(びくん)を与えた」

(内田魯庵「おもひ出す人々」から引用)

 

この鹿鳴館で西洋風の夜会などが盛行した欧化主義の時代を、鹿鳴館時代と呼びますが、民間からは「鹿鳴館夜会の燭光は天に沖するも重税の為めに餓鬼道に陥りたる蒼生(庶民のこと)を照す能はず」と厳しい非難の声が向けられました。

 

しかし、井上馨の進めた改正案に対して、政府部内から激しい反対の声がおこりました。さらに国権論者の農商務大臣谷干城(たにたてき)は井上の改正案に反対して辞任し、フランス人法律顧問のアソナードも改正案が日本にとって不利であることを説いたのです。詰め腹を切らされる様な形で井上はついに1887年(明治20)7月、交渉の無期延期を通告してまもなく辞職してしまいました。

 

こうして、この一時代を築いた鹿鳴館時代は、井上馨の失脚、さらに反欧化主義の台頭にともない終わりを告げたのです。そして、その存在意義が失われた鹿鳴館は1890年(明治23)に外務省から宮内省に移管、1894年(明治27)には華族会館に払い下げられました。その後1940年(昭和15)まで、その姿を帝国ホテル南隣接地にとどめていました。

 

2.他の年、この日の記事

他の年には、こんな記事を書いています。こちらも併せて御覧下さい。(記事が先の日付の場合は表示されません。当日にならないと公開しないように予約投稿しているためです)。

今日はここまでです。

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