12月3日 <改造社、円本の全集を刊行、出版業界に衝撃走る(1926年=大正15)>

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1926年(大正15)のこの日、改造社から「現代日本文学全集」が1冊1円という低廉な価格で発売され、円本ブームが起こりました。

これは大正時代の出来事です。少し詳しく覗いてみましょう。

これは2分程度で読める記事です。
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1.解説

 

大正時代末期、我が国の出版業界は極度の行き詰まり状態で、不況のどん底に喘いでいました。

1926年(大正15)の師走のこの日、改造社社長の山本実彦(やまもとさねひこ)は、社運を賭けて「現代日本文学全集」を刊行しました。

この全集、書籍は菊判とよばれるA5判よりやや大きいサイズで300ページもあるものでしたが、1冊の定価は何と1円ポッキリだったのです。

1931年(昭和6年)までに、62巻と別巻年表との合計63巻からなる全集は、当時としては無謀とさ思われた激安価格が功を奏し、予約購読者だけで二十数万部、最終的には60万部の購買者を獲得し、大成功を収めました。

 

「そんな値段ではだせっこないよ」
「我々への印税も値切られるのだろう」

などと出版社仲間や作家たちからも危ぶまれていたこの企画でしたが、この予想を遥かに上回る大成功は、出版業界のみならず一般社会にも大きな反響を呼びました。

 

これに続いて、

  • 新潮社:「世界文学全集」
  • 春陽堂:「明治大正文学全集」
  • 春秋社:「世界大思想全集」
  • 平凡社:「現代大衆文学全集」

など文学のほか、法学・経済学・宗教などの各分野にわたって、この円本が昭和初期に続々と出版されました。この円本ブームの恩恵を受けた作家たちは、海外旅行に出かけたり、家を新築したり、と懐が潤ったようでした。

 

円本が1円という求めやすい価格で、広く知識を読書界に提供し、文化の普及に果たした役割はとても大きかった、といえましょう。しかし、その一方、一般書籍の価格低下を招き、そのために円本以外の良心的な内容をもつ書籍が不採算商品となり刊行が困難になってしまったことは、読者・出版業界双方にとって哀しい弊害であったことは否めません。

とはいえ、沈滞していた読書界・出版業界に一石を投じた改造社の企画は、日本の出版文化だけではなく、日本文化の向上に大きな役割を果たしたのでした。

 

2.過去年の記事

過去には、こんな記事を書いていました。こちらも併せて御覧下さい。

今日はここまでです。

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