4月15日 <鉄道会社直営ターミナルデパート「阪急百貨店」の誕生(1929年=昭和4)>

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1929年(昭和4)のこの日、大阪・梅田に初のターミナルデパート阪急がオープンしました。

これは昭和時代の出来事です。少し詳しく覗いてみましょう。

これは2分程度で読める記事です。
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1.解説

 

昭和初期になると、東京・大阪などの大都市では郊外の私鉄沿線に住宅地が広がり、東京にあっては新宿や渋谷、大阪では梅田などのターミナル益には通勤客がごった返す様になりました。

 

1920年(大正9)11月に、大阪の阪急電鉄(当時は阪神急行電鉄)梅田駅構内の旧:阪急ビル(5階建)の1階に東京・日本橋の老舗呉服店系百貨店・白木屋を招致し、白木屋梅田出張店が開店しました。その55坪のフロアで食料品や日用雑貨の販売を行わせ、さらに同月2階に阪急直営である大衆食堂の阪急食堂が開設されました。。

 

阪急グループの創業者である小林一三(こばやしいちぞう)は、梅田駅の人の流れに着目し、そして白木屋梅田出張店の売上実績のデータから梅田駅でのターミナルデパートの大きな可能性を見出したのです。

白木屋とは賃貸の契約期間が満了を理由に契約を解除し、1925年(大正14)6月に阪急梅田ビル2・3階に食料品や生活雑貨中心のスーパーに近い形態の阪急マーケット、4・5階に阪急食堂を移設し、4フロアの直営店舗を始めたのです。

 

その後、梅田駅ビルを地上8階地下2階に全面改築し、1929年(昭和4)のこの日、初の鉄道会社直営のいわゆる電鉄系百貨店として阪急百貨店がオープンしました。敷地面積328坪で延べ床面積3,280坪という規模に拡張して、百貨店に相応しい規模の店舗で、雑貨・実用本位の商品構成を基本として

「どこよりもよい品物を、どこよりも安く売りたい」

という方針で本格的に営業を始めたのでした。

 

後年、小林一三は新聞広告に於いて次の様にこの事業展開の6つの要因を説明しています。

「経費がかゝらないから」

ー広告費が少くてすむから。
ー現金売を主としてゐるから。
ー外売をしないから。
ー遠方配達の経費も省けるから。
ー阪急電車の副業であるから。
ー家賃がいらないから。

(1932年(昭和7)10月8日付け新聞広告より)

 

これは小林社長自らが考案されたものだそうで、自社系電鉄のターミナルと併設した立地展開の利点の着目した百貨店構想が、ターミナルデパートとして実現した背景を述べています。そして、その目論見は当たり、開業当初の阪急百貨店は、その有利な立地条件に基いた店舗展開と商品販売に成功を収め、阪急電鉄の沿線客をターゲットとあいた市場開拓を推進できたのです。

 

この阪急の成功を見て、他の鉄道事業者(特に大手私鉄)も起点となる都市部のターミナル駅に、デパートを備える事が急速に進みました。

1934年(昭和9年)11月に東京・渋谷駅東口に出来た東横百貨店(現・東急百貨店)、1937年(昭和12)11月に阿倍野橋駅に出来た大鉄百貨店(現・近鉄百貨店阿倍野本店)などは鉄道会社の系列店舗として設立されたデパートでした。

そのほかに、1932年(昭和7)7月の南海・髙島屋、1931年(昭和6)11月の東武・松屋などは鉄道会社が既存百貨店と提携して設立されたデパートもありました。

 

忘れてはいけないのは、近鉄の動きです。1926年(大正15)9月に近畿日本鉄道(当時は大阪電気軌道)は大阪・上本町駅構内の大軌ビルディングの地下1階から地上3階に三笠屋百貨店を展開していましたが、1935年(昭和10)に三笠屋百貨店との契約を解除して大軌百貨店(現在の近鉄百貨店上本町店)を開業して直営化しました。

すなわち、ターミナルデパートとしての切り口では1920年(大正9)の白木屋や、1926年(大正15)の三笠屋百貨店が先行していますが、鉄道会社直営という切り口でこのターミナルデパートとしては、この阪急百貨店が最初でした。

私鉄の経営多角化の一環として、

  • 沿線を系列の不動産業で開発し
  • 鉄道で沿線住民を輸送し
  • その購買力をターミナルデパートで吸い上げる

という具合に展開されるビジネスモデルの原点は、阪急グループの創業者である小林一三の生み出したものである、と言えましょう。

 

2.他の年、この日の記事

他の年には、こんな記事を書いています。こちらも併せて御覧下さい。(記事が先の日付の場合は表示されません。当日にならないと公開しないように予約投稿しているためです)。

 

今日はここまでです。

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