7月13日 <雑談:いいくに作ろうではなくなった鎌倉幕府の成立時期>

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いつもなら「○○年のこの日…」と書き始めるところですが、今回は昨日の記事にある

それと、小生が日本史を学習したころは、鎌倉幕府の成立年代について、今回の記事の源頼朝が征夷大将軍になった時として

「いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府」

と覚えたものですが、その後、幕府成立の時期については1185年(文治元)が通説となっています。その点につき、明日書く予定です。

という話の続きです。

これは2分程度で読める記事です。
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1.解説

 

小生が日本史を習ったころは、鎌倉幕府の開設が、すなわち鎌倉時代の始まりで、

「いいくに(1192)作ろう鎌倉幕府」

と語呂合わせで覚えたものですが…

 

鎌倉幕府の成立時期をいつにするのか?

 

この問題を巡り、これまで以下の6説が主張されてきました。見解の対立は、それを主張する論者の幕府観の相違によってもたらされているとされています。

  1. 1180年(治承4)年末…頼朝が鎌倉に居を構え、侍所を設け、南関東・東海道東部の実質的支配に成功したとき。
  2. 1183年(寿永2)10月… 頼朝の東国支配権が朝廷から事実上の承認を受けたとき。
  3. 1184年(元磨元)10月… 公文所(政所)・問注所を設けたとき。
  4. 1185年(文治元)11月…守護・地頭の任命権などを獲得したとき。
  5. 1190年(建久元)11月…頼朝が右近衛大将に任命されたとき。
  6. 1192年(建久3)7月… 頼朝が征夷大将軍に任命されたとき。

5,6、特に6は幕府という単語の意味に着目した、いわば語源論的な解釈で、古くから主張されています。しかし、源頼朝は征夷大将軍のポストは3年ほどで辞退しているので、必ずしも幕府の成立要件に征夷大将軍の地位を結びつけるのは正しくない様に思われます。5の右近衛大将についても、頼朝はごく短期間で同職を辞しており、また頼朝の後継者でも近衛大将に任じられた人は殆どおらず、幕府と同職とを結びつけるのは難しいと思われるのです。

 

これに対し他の4説は、軍事政権としての幕府が成立してくる過程に着目しており、なかでは4が最も重要な時点であるとして、現在ではこれを支持する学者が多くなっています。しかし、幕府の基盤は東国にあり、東国の支配政権としての性格を強調すべきだとすれば2説が有力になり、軍事力による実力支配を重くみれば1の見解が主張さ れることになるのです。

 

1説に関し、吾妻鑑に興味深い記述があります。この1180年(治承4)には10月の鎌倉入り、11月侍所設置などがありますが、12月12日に工事を急がせていた頼朝の新居が出来上がり、引き移りの儀式があったのです。その時吾妻鑑には

「これより以降、東国みなその道あるを見、推して鎌倉の主となす」

とあり、新たな東国政権がここに誕生したことを宣言しています。

 

また2説は、頼朝がその時点で支配していた東国諸国の荘園・国衙領の年貢を京都にお送りしましょう!と朝廷に申し入れ、その代償として、その東国地域に対する頼朝の支配権を公認させたことを意味しています。

 

3説の「公文所(政所)・問注所を設けたとき」は、公文所は政務を行い、問注所は裁判を行う機関ですが、それ以前は1180年(治承4)11月に和田義盛を長官(別当)として活動を開始している侍所で公文所・問注所が分担する内容を行っていたので、あらためて3説を採用する理由は無いと思われます。

 

4説は、それまで東国に限定されていた支配権が、いわゆる守護・地頭設置を承認されたことにより、頼朝は日本全国の軍事警察面のトップとしての地位を朝廷から認められたということを意味します。支配権の及ぶ地域という観点で見れば1→2→4説と拡大を続け、この第4説で1ステージをクリアした、と見るのが良い様にも思われます。

 

 

ということで、受験日本史では現在では

「いいはこ(1185)作ろう鎌倉幕府」

というのが一般的です。

小生も、第4説か第1説のどちらかではないかな…と感じています。

 

2.他の年、この日の記事

他の年には、こんな記事を書いています。こちらも併せて御覧下さい。(記事が先の日付の場合は表示されません。当日にならないと公開しないように予約投稿しているためです)。

昨年は記事作成をサボっており、この項は無しです。

 

今日はここまでです。

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