いつもであれば、「○○年のこの日」という書き出しで始まりますが、今日はまず前年の二・二六事件の記事をリライトしていたのですよ。その日の写真を見ていたら、雪が積もっているのですよね。正確に申せば雪の降っている写真とそうでない写真とがあるのです。
その積雪は結構な量なんですよ。2月の東京というのは雪がよく降るのです。そんな話を少し書いてみましょう。
これは2分程度で読める記事です。
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1.解説
早稲田大学の過去問には、二・二六事件事件当時の東京の積雪量を問う問題があったそうです。流石に早稲田大学です。
気になって調べたところ、1936年(昭和11)2月23日に大雪が降っています。午前4時40分〜午後8時45分まで降り続いた雪が、午後8時の観測で積雪35.5cmという記録が残っています。その積もった雪は、中央気象台の観測データでは2月26日朝の時点でも12cmの積雪が残っていました。(早稲田大学の設問に対しては12cmが正解でしょう。)
下にある画像は、事件の当日2月26日午前6時の天気図です。四国の南の海上に低気圧…西高東低の冬型気圧配置が崩れ、日本の南岸近くを低気圧が発達しながら通過すると、上空に北からの寒気が流れ込み大雪になることがあります。そうです、例の南岸低気圧というヤツです。
すなわち、二・二六事件事件の日は雪になったのです、但し、東京は”曇りのち雪”だったはずです。中央気象台の観測データでは26日は午前8時8分から雪が降り始め、残っていた23日の雪の上に積もった雪の深さは合計で21.8cmだということです。
3日を空けず結構な雪が降ったものですねぇ。
まぁ、雪国の方からすれば、5cmや10cmで大雪なんて…という感じでしょうが、それだけ降れば現在の東京の交通は相当な混乱が起きることは間違いありません。
時を遡って、江戸時代ですが、史料を覗いてみると
「江戸大雪、積もる事一尺余」
なぁんていう記述があるんですよ。一尺だから30cmくらいでしょ、つうことになりますが、そこは白髪三千丈という事も考えられます。
もう少し信憑性のあるデータを、という事であれば時を下って明治時代です。気象観測が始まった1876年(明治9)〜1984年(昭和59)までの108年で、積雪20cm以上の雪が東京で観測されたのは21回です。5年に1回位で大雪が降る計算になりますね。
この21回を月別で見ると
- 1月:6回
- 2月:12回
- 3月:2回
- 4月;1回
であり、12月以前には20cm以上の積雪は記録にありません。東京の雪のピークは2月である、という事になりますね。
では、もう一度、江戸時代に遡ってみましょう。
12月に雪が関わる大きな事件がありましたね。そうです、12月14日の赤穂浪士の討ち入りですが、この日付は旧暦のもので、新暦に直すと1月30日なんですねぇ。
それと、桜田門外の変、雪の桜田門外で井伊直弼が暗殺されたは事件は旧暦で3月3日ですが、新暦に直すと3月24日です。
正確な積雪はわかりませんが、日本の気象史料 第2巻(原書房)から一尺以上の積雪の記録を拾ってみますと、1633年(寛永10)〜1876年(明治9)の間243年間に降った大雪の回数は62回でした。そんなものか…と思ってしまいました。
このお世話になった書籍、Amazonで見たら画像無しなんですね。以下のリンクで情報が見られます。
まぁ、江戸時代も現代も、大雪の頻度に関しては4〜5年に1回で大差ない、とも言えましょう。
2.他の年、この日の記事
他の年のこの日には、こんな記事を書いています。こちらも併せて御覧下さい。(記事が先の日付の場合は表示されません。当日にならないと公開しないように予約投稿しているためです)。
今日はここまでです。
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